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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

名探偵明智小五郎

好奇的三面記事にはおあつらえ向きである。

ある新聞の編輯者は、「今様片手美人」という見出しをつけた。つまり片腕を切落された美婦人が、東京のどこかに、まだ生きているという、誠に奇怪な空想をほのめかしたものである。彼は恐らく涙香小史飜案する所の探偵小説「片手美人」の愛読者であったに相違ない。

名探偵明智小五郎

右の出来事の翌日、明智小五郎は警視庁に馴染の波越警部(当時彼は捜査課の重要地位についていた)を訪ねて、人を避けた一室に対談していた。

これは偶然の一致である。明智小五郎は何も「美人片手事件」に特別の興味を持っていた訳ではない。当時世を騒がせていたもっと別な事件について、彼自身その捜査の主役を演じていたものだから、自然捜査課を訪れることもあったのだ。殊に波越警部とは「蜘蛛男」以来のなじみ故、お互に遠慮のない話もはずむのである。

そこへ、取次役の巡査が這入って来て、鬼警部の前に、恐る恐る一葉の名刺を差出した。

「××科学雑誌社長、品川四郎、ホオ、妙な人が尋ねて来たな。話でも聞かせろというのかな」

「裏に用件が書いてございます」

巡査が云った。

「大滝にて発見された婦人片腕事件につき是非是非御話し申上げ度。