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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
人間改造術
賊はあいた口が塞がらぬ。
「サア、今度は君達の番だ。自分の作った牢屋の中で、暫く静かにしているのだ」
明智は刑事達を指図して、三人の賊をその小部屋にとじこめ、外から鍵をかけ、入口には念の為一人の刑事を見張番に残して置いた。
人間改造術
トンネルみたいな廊下を一曲りすると、鉄格子で区切られた十坪程の広い部屋があった。
部屋の中には、病院の様にズラリと寝台が並び、三人の顔を繃帯で包まれた人物が、寝台に横わっている。その枕元には、電気治療機の様なもの、メスの棚、薬瓶の棚、その他訳の分らぬ、ピカピカ光った、様々の不気味な器具が所狭く並べてある。
その中を、急しそうに歩き廻っている三人の男。その一人は、モジャモジャの白髪、顔を埋めた白髯、ロイド眼鏡の奥からギロギロ光る目、何となく不安な、気違いめいた様子の老人で、外科医の様な白い手術着を着ている。牢獄病院の院長といった恰好だ。外の二人は同じく手術着を着ているが、まだほんの青年で、助手の格である。
明智は、贋品川から取上げた鍵で、鉄格子を開いて、一同を奇妙な病院の中へ案内した。二人の助手は、警官の姿に驚いて部屋の隅へ逃げ込み、小さくなっていたが、院長の白髪老人は、ビクともせず、一同の前へ立ちふさがって、恐ろしい声で呶鳴りつけた。