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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

「オイ、青木君、どうだね。これが猟奇の果というものだぜ」

三人目の品川四郎が、品川四郎の声で、品川四郎の心易さで話しかけた。

「ウ、猟奇の果だって?」

「そうさ。これが猟奇の行きつまりというわけさ。どうだい、堪能したかい」

「堪能だって?」

「君の持病の退屈が救われたかというのさ」

「退屈だって?」

「フフフフフフ、君は退屈を忘れていたね。退屈病患者の君が退屈を忘れていた。これは一大奇蹟だぜ。その奇蹟料が一万円は廉かろう」

「エ、一万円?」

「さっきのポンピキ青年に君が渡した一万円さ。人間改造術なんて嘘っぱちだよ。あんなお能の面のような顔の青年を傭って、怪老人の改造術をまことしやかに見せかけたというわけだよ」

「ウウ、そうか。すると君も…………」

「ウン、正真正銘の品川四郎、科学雑誌社長の品川四郎兼スリの品川四郎、君の奥さんをたぶらかした品川四郎、生首接吻の品川四郎、ハハハハハハハ、どうだね、正に一万円は廉いものだぜ」

愛之助はポカンと口を開いたまま阿呆のように黙りこんでいた。

「種あかしが必要かね。どうも必要らしいね。いいか、君は退屈病患者だ。あらゆる猟奇をやりつくして、あとには本物の犯罪が残っているだけだった。