轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
まさか屋根裏に窓のない部屋があろうなどと誰が想像するものか。しかも二階への通路は前述の通り用心深く出来ているのだ。
「これならば、全く安全ですね」
青木がお世辞を云うと、彼に従って上って来た主婦は愛想よく微笑しながら、囁き声で、
「でも、万一のことがあるといけませんから、ここに秘密戸がつけてあるのでございますの」
と云って、一方の板壁のどこかを押すと、ギイと音がして、そこがくぐり戸みたいに向うへ開くのだ。
「この中に低音電鈴が仕掛てございますの。若しものことがありました時は、下からそれを鳴らしますから、ジーという音が聞えましたらば、御召物や何かを持って、この中へ隠れていて頂きます、イイエ、そんなことがある筈はございませんけれど、万々一の用心ですわ」
青木は不必要と思われる程の用心深さに、ホトホト感心してしまった。
「では少々御待ち下さいませ、じきに御見えなさいますでしょう。それから、この縄梯子は上から引いて、上げ蓋を元通りになすって置いて下さいませ。御見えになりましたら、下からさっきの様な咳払いを致しますから」
主婦はお茶を入れると、そう云い残して下へ降りて行った。