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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
手には小型の銃器が光っている。
「逃げると、怪我をしますよ」
幽霊男は、落ちつき払って声をかけた。
「少し君に話したいこともありますから、一度家へ這入ってくれませんか」
愛之助は相手の命ずるままに動く外致し方がなかった。
男は愛之助の背筋へピストルを当てがって、あとから押す様にして、玄関を上り、階下の奥まった一室へと連れて行った。
家具のない、ほこりだらけの、だだっ広い部屋だった。
「僕をどうしようと云うのです」
部屋に這入ると、愛之助はやっと口をきいた。
「どうもしない。僕が行方をくらます間、ここにじっとしていて欲しいのです。それには、手足の自由が利いては危険だから、君の身体を縛って置くつもりです」
品川四郎と寸分違わぬ男が、声まで品川の声で宣告を下した。
哀れな青木愛之助は、間もなく手足をしばられて、ほこりだらけの板の間に転がっていた。その頭の所に、勝ち誇った幽霊男が立ちはだかっている。
「君の名は聞かないでも知ってます。青木君でしょう。僕は君の友達の品川君も知っているし、そればかりじゃない、君の細君の芳江さんまで知っていますよ。ハハハハハハハハ、僕の名かい。