轻松读懂日语经典作品
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
つまり妙子さんにとっては叔父さんに当る訳です」
「アア、そうでしたか。妙子さんとはここに滞在中御心安くしていたのですが、あの人の叔父さんでしたか」
「そうですそうです。そんな御縁もあることだからという、福田氏の頼みなんですよ。どうです。何とか都合をして帰ってくれませんか」
「エエ、よござんす」明智は子供の様に現金である。そんなことを恥しがったり、もじもじしたりしていない。妙子さんの頼みなら、いつでも帰りますと云わぬばかりだ。
「時間は、そうですね、エエと、こちらを二時十分に出て、上野へ七時半の汽車があります。それに極めましょう」
波越警部はこの快い承諾にやや面喰いながら、でもひどく満足そうに、
「有難う。福田氏も喜ぶことでしょう。その時間を伝えて、福田氏の方から上野まで迎えの車をさし向けることにします。では、どうか間違いなく」と念を押した。
電話を切ると、明智はソワソワと出発の支度を始めた。支度といっても、トランク一つの旅だ、手間暇はかからぬ。寝間着と汚れたシャツ類を、トランクに詰め込んで、勘定を支払えばよいのだ。汽車の時間には充分間に合った。
車中別段のお話もない。