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まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页

青空文庫

大団円

「ハハハハハハ、君はたかを括っているのですね。耄碌したお婆さんの証言なんか、どうだって云いくるめられると思っているのですね。だが、妙子さん、証人はその看護婦一人ではないのですよ」

「アラ、まだございますの? 随分お集めなさいましたのね」

妙子は愈々ふてぶてしい態度を見せた。

明智は唇の隅に妙な笑いを浮べながらドアを開けて、隣室に待たせてあった人物を招き入れた。そこには、薄暗い電燈の下に、ひどく時代の違った二人の男女が、神妙に呼ばれるのを待っていたのだ。

入って来たのは、元看護婦の老婆と、彼女に手をとられた幼い子供であった。

「アラ、進一ちゃん!」

妙子はその少年を一目見ると、思わず甲高い叫び声を立てた。進一というのは、読者も知っている様に、妙子が貧家のみなし児を貰い受けて、我子の様にいつくしみ育てていた、まだいたいけな少年である。

大団円

「みなさん」明智は一段声を高めて始めた。「妙子さんは、悪事に荷担して人殺しまでしたとは云え、実父である源造の命を守って、祖父の復讐をとげたのですから、この人の立場としては、ある意味では尤もな点もあり、寧ろ同情すべきですが、妙子さんがその復讐の手段として、罪もないこの少年を、手先に使い、日夜側に置いて、一個の恐るべき野獣として育て上げた点だけは、人道上断じて許すことの出来ない罪悪