轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
屋根裏の捕物
五間の隔りが四間となり三間二間と縮まって行った。だが敵も去るもの、僅かの所で仲々捕まらぬ。一度は明智の右手が、賊の肩に触れさえしたが、残念残念、もう決勝点まで来てしまった。
その芝居小屋は、木戸口は往来に面し、楽屋口はその横手の袋小路を這入った裏側にある。賊は無論楽屋口の方へ走り込んで行った。
賊がこの小屋へ来た所を見ると、首領はまだ場内にいるのだ。忠実な部下は首領に急を告げる為に、楽屋へ飛込んだものに相違ない。
「二郎君、君はここで見張っていてくれ給え。楽屋口は袋小路だ。逃げ道はこの所しかない。奇術師らしい奴が出て来たら、容赦なく捕えるんだ。それから、木戸番に命じて警察へ電話をかけさせて呉れ給え」
明智は二郎を残して置いて、楽屋口へ走った。
屋根裏の捕物
楽屋に踏み込んで、座員の部屋を片っぱしから覗き廻ったが、何というす早さ、どこへ逃げたのか人影もない。
背景を廻って舞台へ出ると已に緞帳は卸され、その向うから見物のどよめき、女の悲鳴さえ聞えて来る。
「オイ、俺は警察のものだ。見物席の方へ逃げた奴はないか」
明智はまだ緞帳の綱を結んでいた道具方を捕えて訊いた。