轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
手品師の弟子入りもした。軽業も習い覚えた。そして、身体を練り、知恵を磨く一方では、復讐事業の資金を貯蓄する為に、あらゆる辛酸を嘗めた。
やっと四十年の努力は報いられた。俺は世間から魔術師と云われる腕前になった。資金も余る程貯えた。そこで、愈々復讐事業に着手したのだ。俺は自信があった。計画は少しの遺漏もなく運ばれることと信じていた。
ところが、いざ復讐に着手する間際になって、全く思いもかけぬ障害が起った。素人探偵の明智小五郎だ。あいつが外国から帰って来て、例の「蜘蛛男」事件で、すばらしい働きを見せたのだ。俺はこの恐ろしい男と戦わねばならなかった。俺は戦った。だが、あいつの為に、俺の計画は半ば以上齟齬を来たしてしまった。いつも際どい所で、あいつが飛び出して来るのだ。妙子の場合がそうだ。一郎の場合がそうだ。俺は、あいつの虚を衝く為に、心にもなく、玉村一家以外の人をさえ襲わなければならなくなってしまった。
いや、計画がさまたげられるばかりではない。今では俺の身が危いのだ。ぐずぐずしてはいられぬ。そこで、俺は計画を早めて最後の幕を切って落すことにした。実を云うと、子供達を一人一人滅ぼして行って、さんざん恐れと悲しみを味わせた上、一人残った父親を、この穴蔵へおびき寄せる手筈だった。