轻松读懂日语经典作品
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
金の為ならどんな悪事でも平気にやってのける、前科者ばかりであった。
段々酔が廻って、ドラ声をはり上げて歌うもの、洋服姿で変な踊りを始めるもの、場所は海岸離れた船の中、どんなに騒ごうがあばれようが、何の気兼ねもないのだ。
文代と三次が帰って来たのは、丁度その騒ぎの最中であった。
「かしら、文ちゃんが帰って来ましたぜ」
部下の一人が這入って来て報告した。
「文代が?」
今まで笑い興じていた源造の顔が、キュッと不快らしくひん曲った。事毎に仕事の邪魔立てをする文代が、憎くて仕様がないのだ。
「ここへ連れて来い。少し言い聞かせることがある。みんな、暫くの間別の部屋で飲んでいてくれ」
「かしら、文ちゃんを折檻するのはよしたらどうです。目出度い日だ。勘弁しておやりなさい」
部下の一人がとりなし顔に云った。彼等は皆美しい文代に好意を寄せていた。それよりも、あの娘をここへ呼んで、皆にお酌でもさせた方がいい。と云いたげな面持である。
「いいから、暫くあっちへ行っててくれ。何も折檻なんかしやしない。ちょっとないしょの話があるんだ」
酔っぱらった首領の真赤な額に、蚯蚓の様な静脉がふくれ上って、血走った目がギロリと光った。