轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页

青空文庫

と叫んで立ちすくんだ。

三次がいたのだ。あれ程探しても見えなかったのも道理、彼は源造が出て行ったあとへ、入れ違いに忍び込んで、気絶した文代を介抱していたのだ。見れば文代は正気に返って、三次となにかボソボソ話し合っているではないか。

源造はど胆を抜かれて暫くは言葉も出なかったが、それ丈けに怒りは二倍三倍になって爆発した。

「三次ッ、あれ程云いつけて置いたことを忘れたのか。なぜ俺に無断で文代を上陸させたのだ」

叫びざま、飛びかかって行って、三次の横面をはり倒した。と、思ったのだ。だが、源造の鉄拳よりも、三次の方が素早かった。彼はヒョイと身をかわして、空をうたせ、知らん顔をして突立っている。

汚れた菜っ葉服、まぶかく冠ったもみくちゃの鳥打帽、そのひさしの下から、機械の油で真黒になった顔がのぞいている。

源造は面喰った。日頃お人好しで薄のろの三次が、首領に敵対する気構えを見せたからだ。

「貴様、俺に手向う気か」

怒鳴りつけても、相手はどこを風が吹くかと、平気な顔で黙りこくっている。

変だ。何かしらあり得ないことが起ったのだ。こいつは決して日頃の三次ではないのだ。