轻松读懂日语经典作品
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
その後思い合わせると、この道化面の男は恐らく賊の主魁であって、先の覆面の二人は、上野駅で明智を虜にした自動車運転手とその助手に化けていた奴であろう。
「で、君は僕の自由を奪って置いて、一体全体何をしようというのだね」
横ざまにソファに縛りつけられた明智が云う。
「何をしようだって? それよりも、何をしたかって聞いて貰いたいね」
壁の道化面が答える。何という珍妙不可思議な対話であろう。だが、この滑稽な姿の両人が喋る言葉は、一騎討ちの真剣勝負だ。
「エッ、それじゃ」明智は驚いて叫んだ「君はもうやっつけたのか」
「やっつけたとは? 福田の親爺のことかね」
「ヤ、それじゃ、貴様、福田氏をどうかしたんだな」
「首と胴とを別々にした丈けさ。……だが、俺の仕事はそれで終った訳じゃない。俺には先祖から伝わった大使命があるんだ。その使命の為に、俺は生れ、教育を受け、四十余年の間苦しみに苦しんで来たんだ。それが、やっと目的を達しようという時になって、貴様という邪魔者が現われた。俺は世界全体を敵に廻しても恐れない。それ丈けの用意は出来ている。だが、君という怪物のことまで、勘定に入れて置かなかった。