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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
民間探偵の第一人者
明智小五郎氏溺死す
福田氏惨殺犯人の毒手か
月島海岸に漂着した溺死体
福田得二郎氏惨殺事件、次いで白※(「髟/(冂<はみ出た横棒二本)」、第4水準2-93-20)橋下の獄門舟事件と前代未聞の残虐に世人の心胆を寒からしめた怪賊は、更らに毒手を伸ばして、当面の大敵たる民間探偵明智小五郎氏を不思議なる手段によって殺害したかの疑いがある。
明智探偵は、福田氏惨殺事件の当日以来行衛不明を伝えられ、警視庁に於ても極力捜索に力めていたが、昨十九日午後四時頃、月島海岸に一箇の溺死体漂着、検死の結果、意外にもその溺死者が明智小五郎氏であることが判明した。同氏は故福川氏の依頼により旅行中のS湖畔より急遽上京の途中、突然行衛不明となったもので、恐らく福田氏殺害犯人の魔手に陥ったのではないかと見られていたが、今や同氏の死体発見され、愈々その疑は濃厚となった。獄門舟事件と云い、明智氏溺死事件といい、事毎に水に縁のある所を見ると、兇賊は舟を根城として巧みに其筋の眼をくらましているのではないかと、その方面に厳重なる捜査が開始される模様である。