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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

それは怪人集団の城塞よりの攻撃に違いなかった。もしこれが普通の構造を持った潜水艦なら、立ちどころに火の塊と化し去る筈であった。だがわがウラル号の場合はそうはならず、そのまま海中を後方へ一キロばかり押し返された――というよりも叩き飛ばされたのだった。

もしワーナー博士をはじめ乗組員たちが、緩衝帽衣をつけていなかったらとしたら、彼等はこの激しい衝撃によって、頭部を壁にぶっつけて石榴のように割られ、肋骨も四肢の骨もぽきぽき折られてしまったことであろう。だがかのゼムリヤ号の遭難事件に起ったような乗組員の災禍は、優秀な緩衝帽衣によって巧みに防止された。

また艦体は、ヤクーツク造船所の研究の成果による最も強力な耐圧構造を持っていたので、巨大な外力を受けた瞬間に、前後に約二分の一に収縮したが、破壊を免れることが出来た。それから艦体の外部に張りめぐらされた網状の電界中和装置は、怪人集団の城塞から発射した嵐のような原子弾をよく捕捉し、中和して無害とならしめた。

「目標までの距離、五千八百……」

航海士がレーダーにあらわれた目盛を元気に読みあげたときには、艦は再び正常な航路についていた。