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ちきゅうはっきょうじけん
地球発狂事件
海野 十三
「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页
余震なき地震
「……」
研究員たちは、林の如く静かであった。先刻以来、石のように固くなって微動だにしない様子だ。ドレゴの卒倒事件にさえ誰もが気がついていないと見える。
ドレゴは起上って、隅っこの安楽椅子に自分の身体を投げこんだ。それをホーテンスの眼が抗議するように睨んだ。
「ホーテンス君。博士たちは何かを掴んだらしいね」
と水戸は、彼の胸を引いた。
「うん。何を掴んだかな」
そういったホーテンスは、つかつかと博士の傍へ歩み寄った。
「博士。何があったのですか、地震はどこに現われていますか」
「叱ッ」
博士は、ホーテンスの方へは振返らないで、自分の唇に人指し指をあてた。
「失礼しました……」
ホーテンスは悪びれず謝罪してから、水戸の方へ手をあげて合図をした。
水戸は肯いて、極度に足音を立てないように注意して、ホーテンスの傍へ寄った。
何事も未だ起っていないようだ。だが、今正に何事かが起らんとしつつあるのだ。それは説明がなくても、勘のいい記者たちには察知せられた。
博士が睨みつけている電界強度計の指針が、気のせいか微かに慄えているようだ。
余震なき地震
息詰まる緊張の幾秒が尚も続いた。