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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

明らかに二つの事件には相違がある。これが僕の同一原因説なんだよ、水戸君。だからこそ僕は新しい原因説を出した」

ホーテンスは熱心に水戸を見詰める。

「ところがねホーテンス君。これは博士に笑われると思うが僕は一つの仮定を置いたのだ。その結果、二つの事件に同一原因説を敢えて圧しつけているわけだが、つまりこうなんだ、その仮定というのは――」

「ふう」

「……同一原因による力が働いたんだが、その原因物と被害物体との距離にかなりの相違があったため、その結果である損傷程度に著しい相違を生じた――こう考えてはどうだろうか。つまりゼムリヤ号事件のときはその怪力源が相当遠くにあった。しかし駆逐艦D十五号の場合はずっと近くにあった。そう考えることはいけないだろうか」

水戸の説は大胆極まるものであった。そうしてここに論ぜられたもの以外にも多くの欠点を有していた。しかし彼は敢えて同一原因説を唱え、そして一見無理と思われる解釈を試みたのだった。なぜ彼はそんな無理を強行するのであろうか。

「君の説は興味深い」

ワーナー博士が突然口を開いたので、その周囲に集まっていた人々は愕いた。まさかそんな讃辞が博士より聞けようとは期待していなかったからである。