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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

現場近接

「僕は君の気持ちを知らなかったもんだから、彼を大西洋に置いてきたんだ、一体君はいつ頃から水戸を愛していたんだね」

「もう古いことよ。水戸がうちへ下宿するようになって間もなくだわ」

エミリー牝牛嬢には似合わない細い溜息をついた。

「これは愕いた。水戸はちっともそんな気配を見せなかったのでね」

「あら、ドレゴさん。早合点しないでよ。あたし達の間はまだ何でもないし、第一水戸さんはご存じないのよ」

「へえ、そうかね」とドレゴは大袈裟に愕いてみせて

「わが可憐なるエミリー嬢が見掛けとはおよそ似つかぬ清純たる恋に悩んでおられるとは、さっぱり気がつかなかったね」

「おおきにお世話よ、鈍感坊ちゃん」

「これはお言葉、痛み入る。しかしエミリー、実をいえば僕も水戸をひとり残して来たのをたいへん後悔しているんだがね」

「あたしも変に胸さわぎがするのよ。あっちで何か間違いでもあったんじゃないかしら」

二人の心配は果たして杞憂であったろうか。

現場近接

海底へ下りたワーナー博士一行十名は人員点検をして異状のないことを確かめた上で、一団となって進発した。

五個の強力な灯火が前方を明るく照らしている。