轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
この白髪首を賭けてもいいよ。わしは生れてからこの方、同じ失敗を二度繰返さないという、固い信念を持っているのじゃ。妹さんのことは、何とも申訳がないと、胆に銘じている。それなればこそ、こんな偽病人の苦労までしているのじゃ。今度しくじる様なことがあったら、無論、この白髪首、胴にはつけて置かん決心じゃよ」
「それを伺って、僕も気持が軽くなりました。ですが、探偵という仕事もつらいですね。賊に傷つけられて入院なすったそのことを、すぐに又探偵の手段に逆用しなければならないなんて」
「ハハハ……、君にはつらい様に見えるかね。わしは愉快なんじゃよ。軍人以外の職業で、探偵程戦闘的なものはありやしない。命がけの戦いだ。智恵という智恵を絞りつくし、力という力を出しつくしての闘争じゃ。世の中にこんな面白い仕事があるもんか」
「ワー、おじさんの元気には、僕顔まけしますよ。ハハハ……」
とうとう冗談が出た。守青年はそれ程気が軽くなっていたのだ。この老いぼれ探偵のたのもしさはどうだ。すばらしさはどうだ。
話は段々陽気になって行ったけれど、彼等は非常に用心深く、声の加減をしていたので、仮令万一、賊が窓の外に潜んでいても、そこまで聞える心配はなかった。