轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
怪しの物
不気味な怪物の蠢いていた同じ窓から、昨夜とはうって変って、晴れやかな朝の太陽が覗いていた。
彼女は、ベッドを降りて、ソッと窓を開いて見たが、外には何時に変らぬ庭園の常緑木が、青々と茂っているばかり、何の異常も認められなかった。
やっぱり、あれは夢の続きだったのに違いない。でなくては、あんな大きな蠍なぞが、現実に棲息する筈はないのだから。
「マア、よかった」
太陽の光が、悪夢の魑魅魍魎をすっかり払い落してくれた感じで、彼女はすがすがしい気持になれた。ひどく疲れて、頭がフラフラしていたけれど、気を引立てて身じまいをして、いつもの通り朝の食堂へ出て行った。
「マア、品さん、どうなすったの、あなたの顔色は? どっか身体の具合が悪いのじゃありませんか」
母夫人が、驚いて訊ねた程、彼女は蒼ざめていた。
「イイエ、別に。きっと、ゆうべよく眠らなかったせいよ」
品子は何気なく答えた。昨夜の怪物の事など、明るい太陽の下では、馬鹿馬鹿しくて話し出せなかった。話せばきっと笑われるに極まっていた。
「品子はあの虫のことを気に病んでいるんだよ。だが、心配しなくてもいい。お前のことは警視庁の捜査係長が、すっかり引受けて、警戒していてくれるんだから。