轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
地獄の底から今這い出して来た妖婆の形相である。
「品子さんは危いから、早く下へお降りなさい。それから、桜井さん、一つ警察へ電話をかけて下さらんか。赤蠍を捕えたからと云ってね」
探偵の指図に従って、桜井氏は品子をいたわりながら、階下へと降りて行った。
「殿村、往生際の悪いやつだな。もう観念したらどうじゃ。品子さんをどうする事も出来はしないのだ。いや、それどころか、お前自身がこうして捕えられているのじゃないか。逃げようと云っても、もう逃げられるものではない。観念しなさい」
妖魔も今は凡てを諦める外はなかった。彼女はグッタリとそこに坐って、縋り寄る一寸法師をもう振り離そうとしなかった。
犯人が逃げる様子もないので、人々は二人を遠まきにして、警官来着を待つ間の放心状態にあった。ここは、裁判所ではないのだから訊問する事もない。仮令訊ねて見ても、この昂奮状態では満足な返事を得られ相にはない。イヤ、態々聞かなくても、大方の事情は想像がついている。ただ、二人を逃がさぬ様にさえ気をつけていればよいのだ。
殿村夫人は娘を抱きしめる様にして、激情の余り泣き出す力さえなく、空ろな目で空間を見つめたまま、長い長い間身動きもしなかったが、やがて、彼女の右手が、内ぶところの中でモゾモゾやっていたかと思うと、何かしら小さな丸薬の様なものを