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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
吉川英治『宮本武蔵(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 页
江戸を去るにあたって、一書、彼の手に届けておくのだ」
「何と書きなさる?」
「文飾などはいらぬ。また、わしが豊前へ下ることも、人伝てに聞きおろう。要は、腕をみがいて汝も豊前へ下れというまでのことだ。生涯でもこちらは待つ。自信を得た日に来れ、というだけで意志は届こう」
「そのような……」
と、ばばは手を振って、
「――気の永いことは困る。作州の家へ帰っても、わしはまたすぐ旅に出るつもりじゃ。そしてこの両三年がうちには、きっと武蔵を討たねばならぬ」
「わしにまかせておけ。おばばの望みも、わしと武蔵との事の序に仕果して進ぜるからそれでよかろう」
「じゃが、なんせい、老る年齢じゃ。生きているうちに、間に合わねば……」
「養生をなされ。長生きをして、わしが畢生の剣を持って、武蔵に誅を加える日を見るように」
受取った矢立を持って、小次郎は近くの流れに手を浸し、指のしずくを墨つぼにたらしていた。
佇ったまま、懐紙にさらさらと筆を走らせる。彼の文字は流達で、文辞には才気があった。
「これに飯粒が」
と、ばばは弁当殻のそれを木の葉の上に付けて出した。小次郎は封をして、表に宛名、裏に、