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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
吉川英治『宮本武蔵(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 页
三
……はははは、そのように、兵庫どのは、御短慮と見えるが、大祖にはよほどお可愛かったものとみえますな」
三
そこへ、お通が出て、
「これは、宝蔵院様でいらっしゃいますか。折悪く、兵庫さまには、江戸城へさし上す何やらのお目録とかを認め中で、失礼ながらお目にかかりかねる由にござりまする」
そう告げて、次の間まで用意して来た菓子、茶などを整え、
「粗葉でござりますが……」
と、胤舜へ先に――居並ぶ法弟たちの前へもすすめた。
胤舜は、落胆顔して、
「それは残念な。――実はお目にかかってお告げ申したい大事があるのだが」
「何ぞ、てまえで足りる儀なればお伝え申しておきますが」
と、木村助九郎が傍からいうと、
「やむを得まい。では其許からお耳へ入れておかれい」
と胤舜は、やっと用談の本筋へはいった。
兵庫の耳へ入れたいというのはこうだ。この柳生ノ庄から一里ほど東――梅の樹の多い月ヶ瀬の辺りは、伊賀上野城の領地と、柳生家の領と、ちょうど境になっているが、その辺は、山崩れやら、縦横の渓流や、部落も飛々で、確かな国境というものがない。
ところが。
伊賀上野城は従来、筒井入道定次の所領であったものを、家康が没取して、これを藤堂高虎に与え、その藤堂藩は、昨年、入部してから、上野城を改築し、年貢の改租やら治水やら国境の充実やら、目ざましく新政