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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

吉川英治『宮本武蔵(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 页

青空文庫

二

そしてまた、二本縒に綯い合せて、長さを測り、襷にかけた。

紙縒襷というのは、むずかしい口伝があるものとか聞いていたが――佐助が見ていたところでは、ひどく無造作に見えたし、また、その作りかたの迅いのと、襷にまわした手際のきれいなのに、眼をみはった。

武蔵は、その襷に、潮のかからぬよう、ふたたび、綿入れを上から羽織って、

「あれか、船島は」

はや間近に見えて来た島影を指して訊ねた。

二

「いえ。あれやあ母島の彦島でございます。船島は、もう少し行かないと、よくお分りになりますまい。彦島の北東に、五、六町ほど離れて、洲のように平たく在るのがそれで――」

「そうか。この辺りに、幾つも島が見えるので、どれかと思うたが」

「六連、藍島、白島など――その中でも船島は、小さい島でございます。伊崎、彦島の間が、よくいう音渡の迫門で」

「西は、豊前の大里の浦か」

「左様でございます」

「思い出した――この辺りの浦々や島は、元暦の昔、九郎判官殿や、平の知盛卿などの戦の跡だの」

こういう話などしていて一体いいものだろうか。自分の漕ぐ櫓に、舟が進んで行くにつれ、佐助は、ひとりでに先刻から、肌に粟を生じ、気は昂まり、胸は動悸してならないのである。