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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

吉川英治『宮本武蔵(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 页

青空文庫

た。

沢庵の気もちも、安房守の好意も、ほぼそうした考えに近かった。

殊に、安房守としては、子息の新蔵が受けた恩義に酬いるためにも、

(ぜひ、武蔵どのを将軍家御師範の列に御推挙したい)

と、いう考えを抱いていて、それは新蔵を使いにやって、武蔵をここへ呼び迎える前に、話し合っていたことなのである。

(一応、彼の人間を見て)

というので、話は決まっていなかったが、武蔵を試した但馬守には、もうそれも分っている筈だし、素姓、性格、修行の履歴などは、沢庵が保証するところであるから、これにも、誰も異議はない。

ただ、将軍家の師範に推挙する場合は、当然、旗本に列しなければならない。これには、三河以来の譜代者がたくさんいて、徳川家が、今日を為してから新規に抱える者に対しては、とかく白眼視する傾きもあり、近頃、うるさい問題も起っているので――難といえばただそこに難関はある。

だが、これも沢庵が口添えしたり、両人の推挙があれば、通らないこともなかろう。

もう一つの困難と想像されるのは家柄のことである。武蔵は勿論、系図書などは持っておるまい。

遠祖は赤松一族で、平田将監の末裔とはあっても、確証はなし、徳川家との縁故もない。