轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さこんのいかり

左近の怒り

坂口 安吾

「講談倶楽部 第六巻第九号~第一一号」1954(昭和29)年7月1日~9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,454 字 · 95 页

青空文庫

バラのように香り高く、水仙のように清らかで、高い品性と知性にみちているのだ。フハイダラクしている故に、妹を誇りやかに思う慈しみが一層強かった。

七時チョッキリに千葉ウジが手さげカバンをぶらさげて現れた。一番おそかったのは左近である。仕方がない。海の男が銀座八丁の中から一軒の中華料理店を見つけだすのは大仕事なのだ。八時三分だった。芳々亭の扉を排して現れた左近は店の中を見まわした。そのときである。向いのシルコ屋から飛びだしてきて、左近の腰にタックルするように飛びついた小人があった。タコスケである。彼は叫んだ。

「グズグズしてちゃアいけないよ。葉子さんが誘拐されちゃったじゃないか」

「誰に?」

「例の女だよ。例の緑の自動車へ葉子さんを乗っけて行っちゃったんだ」

「追わなかったのか」

「聞き覚えのナンバーの緑の車を見てハッとした瞬間なんだよ。葉子さんが女に押しこまれて走りだしたんだよ。しかしね。ボクの親友の円タク運チャン、ミスター三郎が追跡しているから、行先はやがて分るよ」

その時はもう千葉ウジの姿はいずこともなく消え失せていたのだ。思わずタコスケの前へ駈けつけて、歯をくいしばって二人の話をきいていたのは洋次郎であった。