轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さこんのいかり

左近の怒り

坂口 安吾

「講談倶楽部 第六巻第九号~第一一号」1954(昭和29)年7月1日~9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,454 字 · 95 页

青空文庫

敵か味方か

彼は歯を噛みくだきそうな形相で、思わず呻いた。

「しまった! はかられたか。よし、行こう。キミはタコスケだね。キミは左近クン。知ってるよ。オレは葉子の兄の洋次郎だ。葉子にたのまれて来たのだが、残念! 一足おそかった!」

三人はひとかたまりに、とびだした。

敵か味方か

同じころ、すでに都心をはなれた淋しい道を走っているのは葉子と謎の女をのせた自動車であった。女は葉子の親しい友だちか姉のようにやさしかった。

「もうお分りでしょ、行先は。白雲荘よ」

葉子はうなずいた。そして、きいた。

「あなたは、どなたなの?」

「白雲荘の女主人よ。女スパイなんかじゃないわよ」

女の笑顔につりこまれて葉子も思わずほほえんだが、そのとき運転手が女に目くばせしてバックミラーを目で示したのに気がついた。誰かが追跡してくるらしい。

「私ったら、誰かに追跡されるタチらしいわね」

女は平然と笑っていった。左近の時とちがって今日は自動車に乗ってるせいか、落ちついている。

「夏川さんは白雲荘にいらッしゃるのですか」

「いいえ。白雲荘で悪者のタクラミをくつがえす計略をねるんですけど……変ね。追跡の自動車、ずいぶん接近してきたわ」