轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さこんのいかり

左近の怒り

坂口 安吾

「講談倶楽部 第六巻第九号~第一一号」1954(昭和29)年7月1日~9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,454 字 · 95 页

青空文庫

ア。なんだ。氏家少尉殿ですか」

「キミが大竜出版の社員かね」

「今日からそうなんです。実はこれこれの次第でにわかにそうなったのです。しかし、氏家さんが印刷屋とは知りませんでしたね」

「終戦のとき基地に不要の印刷機械が三台あったのを貰ってきて商売をはじめたら何となくモノになっちゃったんだよ」

「ハハア。ボクらの密輸船と同じ式の印刷会社ですか」

「キミが大竜出版の社員ならオレも考え直さなくちゃアなるまい。もともとこの出版にはインチキがあるとオレは睨んでるんでね。大竜出版は知らないらしいが、著者の住田嘉久馬がインチキなのだ。結局高い値で売りつける肚だね。出版に至らぬうちに立消えになるものとオレは睨んでいるのさ」

「それではバカバカしいですね」

「その通り。立消えになればオレは金がもらえないし、たぶん大竜出版も一文もとれないだろうと思うんだ」

「やるだけ損ですね」

「しかしキミが大竜出版の社員なら、やろうじゃないか」

氏家太郎はニヤリと笑った。感謝していいのかどうか左近はわけがわからない。

「社員というほどレッキとしたものじゃアないんですがねえ。無理していただくと、どうも、こまるな」