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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页

青空文庫

第十七章 九月二十三日午後四時―五時

実家は長野県諏訪市ですが、照会しましたところ、終戦後、上京して行方が知れないそうで、パンパンになってるらしいという風聞があるそうですよ。そこまでしか判明しておりません。尚、倉田の妾は、当時、トミ子のほかに、芸者が一人、新開地で喫茶店をやらせていた女が一人おりますが、これは事件当日の倉田と関係がありません」

大矢捜査主任はうなずいた。

「じゃア、御苦労だが、もう一つ、女の身許を探してもらうことにしよう。上京してサクラ拳闘クラブと定夫の友人などに当って、電話の女を突きとめてもらいたいのだ。すぐ出発してくれたまえ」

こう命じておいて、三村刑事と私たちをつれて、自動車を走らせて、倉田家へでかけた。倉田家へ到着したのが四時であった。

第十七章 九月二十三日午後四時―五時

倉田家の応接間に、雇人をのぞいた家族の全員に集ってもらう。

滝沢三次郎だけ欠けている。彼は社用で上京しているのである。駅に刑事がはりこんでいるから、三次郎の上京は、きかなくても分っていた。

集ったのは、由之、定夫、由子、美津子の四人。定夫は海水浴から帰ってきたところであった。

私たちの顔を見ると、由之はブリブリして、