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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
第六章 美津子の紐
安彦君をつれてきてくれたまえ」
「ハア。命じておきましたから、すぐ連れさせましょう」
と、立ち去ったが、まもなくセカセカ戻ってきた。顔色が変っていた。
「巡査が報告を怠っておりましてね。どの部屋もカギがかゝって応答がないというのです。オイ、そっちの部屋も、そうか」
三村刑事は廊下の奥手に張り番している巡査の方に怒鳴ったが、自分で立ち上って、とんで行った。はげしく由之の扉を叩いたが、やっぱり応答がない。
「モトはカギをかけずに安彦の部屋をでたといった筈だが、オイ、女中からカギをかりて、あらゆる部屋をあけて見ろ」
大矢捜査主任はそう命じた。数名の刑事がすぐ立って、モトに合いカギをださせて、各々の部屋があけられたが、各室から通報されたものは、意外な事実であった。
安彦。絞殺、死亡。
美津子。昏酔。反応なし。
由之。いったん返答せるも、フトンをかぶって熟睡をつゞけつゝあり。
由子。(由之の部屋に同居)いったん返答せるも、尚、完全なる覚醒に至らず。
第六章 美津子の紐
それらの報告とまったく同時に、巡査にひきたてられてきたのは蛸の重吉であった。
「この男が今、裏門から帰ってきました」