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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页

青空文庫

第七章 蛸重の奇妙な放言

「玄関と裏口と、食堂に一ヶ所、出入できる扉がありますが、これは私が食堂を片附けたあとで、必ずカギをしらべてから、電燈を消しております」

「玄関と裏口から、誰かゞ入ってこなかったかね」

「玄関からは、どなたも来た方はございません。でも、定夫様も滝沢様もまだ御帰りではありませんので、カギはかけずにおきました。裏口はスミ子にきいてみなければ分かりませんが、私があの子の部屋へ事件を報せに行ったとき、もう寝ていましたから、誰かゞ外からはいってきても、分らなかったかも知れません」

「イヤ、御苦労。今夜は、もう休んでよろしい。明日は又きくことがあるだろうから、その時は、ハッキリ答えてくれなければいけないよ」

モトを帰して、私たちは広間へ戻った。

「ついでだから、ちょッと重吉をよんで貰おうかね」

第七章 蛸重の奇妙な放言

蛸重は睡たそうにアクビをしながら、然し、ニコニコとはいって来た。

「アルコールのきれないうちに、ねむらせて下さいな。だん/\蛸の色もさめて来ましたぜ」

「睡いところ御苦労で済まんな。腹を立てゝ蛸の屁をかませずに、キゲンよく答えてもらいたい」

「そう言われると、どうも、ムズ/\と」