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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
熱海は年中自殺の一件二件毎日あるところだから、ま、実は、犯罪ぐらいじゃア一向に驚かん町柄ですな。アッハッハ。ただ私の休んだ旅館の女中なども、みんなあの丹下左膳の街頭募金姿を見て知っていましてね、おかげで、町の話題がそれで持ちきり、というワケです。銀座通りのすぐ横丁の『弁天』という料理屋へ食事に行く習慣だったそうですが、毎日くるのだし、傷痍軍人だから、半額にしろ、と筆談でネバッて、イヤがられて、それ以来いい顔をされなくなったという話です。胴巻にギッシリと、大変な札束を肌身はなさず身につけていたそうですよ」
「アッ。ハテナ?」
大矢捜査主任はギックリしたらしい。
「そいつを忘れていましたよ。物盗りが念頭にない事件だから、お金のことを気にしなかったが、オイ、誰か、安彦氏の所持品の品目をしらべてくれ。たしか、金はいくらも持っていなかったようだな」
一人が立ちあがって調べていたが、
「エエと、六百五十五円。五枚が百円札。十円札十五枚、一円札が五枚です」
「案外だなア。三村の報告書でも、稼ぎは莫大だとあったが、莫大といっても、クツミガキほども繁昌していないようだから、タカが知れているのかな。