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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
「はて?」
と、三村が呟いた。
「テーブルの上にも同じような合いカギがあるな」
三村はテーブルの上のカギをとりあげて、部屋の扉のカギ孔にさしこんだ。カチリとカギがかゝった。
床の上のカギを拾って、やってみると、カギがかからない。
「オイ。このカギを安彦の部屋のドアでためしてこいよ」
と、三村は張り番の若い巡査にカギを渡した。巡査は直ちに戻ってきて、
「あの部屋のカギでした」
「やっぱり、そうか。ここへ落ちていたんだな」
部屋の中央にちかゝった。唐草模様の使い古したジュータンで、そこに、何の跡も見当らない。三村は目をあげて、扉の上を見つめた。そこにも、引き窓があって、半開きになっている。
本棚を見ていた大矢捜査主任が、三村の方をふりむいて言った。
「君の探し物が見つかったぜ。ヴァン・ダイン、甲虫殺人事件」
ヴァン・ダインの甲虫殺人事件といえば、犯人が犯行を犯して、自分を被害者の一人のように催眠薬で昏酔している事件である。のみならず、色々の不利な証拠が彼の部屋から発見される。つまり彼が犯人であり、犯行をごまかすために自分も催眠薬を服用して被害者を装っていることが一目瞭然たるものなのである。