轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
06 第六分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页
その道にかけては、多年、天蔵自身こそ本職であるから、いま一見すると、
(これは自分の勘ちがいであった)
と感じ、すぐ疑心を訂正していた。
で、それを官兵衛にも気づかせるように至極気らくに、
「さあ、入るがいい。その方もこの宿で入湯中のものか」
「いえ、伊丹の御城下におりまする銀屋新七という者でございます」
「なに、伊丹の者?」
「はい。釵や小金具などの、金銀の細工物をしておりますので」
「ふム……。して何ぞ、この方たちへ、細工物でも誂えてくれとでも申すのか」
「それもございますが」
と、軽く笑って、宿の召使へ、そっと包みらしいものを与えていた。そして耳のそばへ口をよせながら、
「お頼みだよ。いいかね」
とささやいた。
手代はうなずいて、すぐ立ち去った。いよいよ解せない町人と、官兵衛はにらまえていたが、銀屋新七というその男には、少しも暗さが見えなかった。
「さあ、これでいい。どうぞお両方も御安心くださいまし。もう人目はございませんから」
「いったい、そちは何者だ」
「さきほども申しあげました――伊丹の新七と申しまする」
「うそであろう」
「どうしてですか」
「そちのような町人に、何の縁故もない」