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にほんばし

日本橋

泉 鏡花

「日本橋」千章館、1914(大正3)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,697 字 · 177 页

青空文庫

生れた小猫に、すぐにまた色気が着くと、何とどうです、不潔物の始末なんざ人間なみにさせられる。……処へ、妹が女の子の癖に、かねて猫嫌いと来ていたんだものね。死ぬほどの思いで、辛抱はしたんだが、遣切れなくなって煩いついた。(少し変だ、顔を洗うのに澄まして片手で撫でる、気を鎮めるように。)と言って、主人から注意があったんだとね。

祖母は祖母で、目を煩ってほとんど見えない。二人の孫を手探りにして赤い涙を流すんじゃないか。

私は気が付くと、その夜、――後で妹の話を聞いて慄然して飛んで出たが、猫行火に噛着いていて、豆煎を頬張ったが、余り腹が空いて口が乾いて咽喉へ通らないから、番茶をかけて掻込んだって。

内職の片手間に、近所の小女に、姉が阪東を少々、祖母さんが宵は待ぐらいを教えていたから、豆煎は到来ものです。

(白酒をおあがり、晋ちゃん、私が縁起直しに鉢の木を御馳走しよう。)と、錻落しの長火鉢の前へ、俎と庖丁を持出して、雛に飾った栄螺と蛤をおろしたんだ。

重代の雛は、掛物より良い値がついて、疾に売った。有合わせたのは土彩色の一もん雛です。中にね、――潰島田に水色の手柄を掛けた――年数が経って、簪も抜けたり、その鬢の毛も凄いような、白い顔に解れたが――一重桜の枝を持って、袖で抱くようにした京人形、私たち妹も、物心覚えてから