轻松读懂日语经典作品
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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页
一同が眼を見かわしていると、お互いの眼の中に恐怖の青い焔がチロチロと燃えているように感じられた。
「怖い夢を見たんだね。三晩もかい。前兆だよ。何か恐ろしいことが起こる前ぶれだよ」
祖母が念仏でも唱えるように、歯のない口の中で、ブツブツ呟くのが、異様に薄気味わるく聞こえた。
「でも夢だけなれば、僕はそれほどに思わないのですが、もっと変なことがあるんです。僕はこのうちに眼に見えない魂みたいなものが忍び込んでいるんじゃないかと思うんです。そいつがいろんなことをするんです。今に僕たちをみなごろしにするんじゃないかと思うと、ゾーッとしないではいられません。
何者かがこのうちの中をうろつき廻っている証拠には、僕の部屋に変なことが起こったのです」
そこまで聞くと、綾子の眼の色がおびえたようになって、美しい唇からかすかな声が漏れた。
「あらっ、一郎さんのお部屋にも?」
姉と弟とは、今の先、スクリーンの上で恐ろしくくずれたあの顔を見合わせて、ギョッとしたようにお互いの眼の中を覗き合った。
「じゃあお姉さまの部屋にもかい。僕の部屋では、ホラ、あのベートーヴェンのデスマスクね、あれが壁の上を独りで歩きまわるんだよ。