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あんこくせい

暗黒星

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页

青空文庫

この事件の最初、一郎君が曲者に刺された時、僕はあいつをさっきの廊下へ追いつめたのですが、曲者は煙のように消え失せてしまった。そこで僕は、後日あの廊下の辺を充分に調べたのです。何かカラクリがあるに違いないと考えて、隅から隅まで調べたのです。すると、あの押入れの中の秘密戸を発見した。そして、この地下室を見つけてしまったのです。

実にうまい隠れ場所があったものだ。この家を建てた外人が、こんな風変りな穴蔵なんかこしらえておくものだから、今度のような犯罪も起こることになったのです。これがなければ、いくら賢い犯人でも、ああまで出没自在に振舞うことはできませんからね」

「そうでしたか。いつもながら君の手腕には敬服です」

北森氏はホッとしたように、私立探偵をほめたが、何かまだ腑に落ちぬ点があるらしく、

「君は今、ここのうちのものに見られたくないと言いましたね。すると、犯人の同類が、邸内にいるとでもいうのですか」

と訊ねる。

「そうです。同類がいるかどうかはわかりませんが、なにしろ犯人自身がこのうちのものですからね」

「じゃあ、やっぱりあの綾子という娘が……」

「いや、その事はあとでゆっくりお話ししましょう。