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あんこくせい

暗黒星

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页

青空文庫

執念の子

絶対に不可能なのです」

「それが君の最後の城郭だね。そういう言い抜けの道があればこそ、君はさっきから、少しも不安を感じなかったのだ。お父さんや綾子さんが救い出されたのを見ても、平然としてこの捜査会議の席に列することができたのだ。

しかし、一郎君、僕が動機を確かめないで、こんなことを言い出すと思うかね。僕はそれほどぼんくらではないつもりだ」

「では、この僕が、あの可愛い血を分けた妹を、殺したとおっしゃるのですか」

「ところが、君は鞠子さんの兄ではないのだ。伊志田さんの子でもなければ、綾子さんの弟でもないのだ」

明智は実に驚くべき言葉を、ズバリと言ってのけた。

執念の子

「えっ、なんですって? あなたはいったい、正気でそんなことをおっしゃるのですか。僕が伊志田の子でないなんて、もしそうだとすれば、父がそれを知っているはずです。姉がそれを知っているはずです。あなたは父や姉にそれを確かめてごらんになったのですか」

一郎は憤怒に青ざめて、声を震わせて叫んだ。

「いや、お父さんや綾子さんは、そのことを少しもご存知ないのだ」

「えっ、父が知らないんですって。ハハハハハ、僕が父の子でないことを、父自身が知らないのですって? ハハハハハ、これはおかしい。