轻松读懂日语经典作品
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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页
明智への来客らしく、彼は書生に「ちょっと待たせておいてくれたまえ」と答えて、追い出すように部屋を去らせた。
すると、相手の言葉の途切れるのを待ち構えていた一郎が、その機をとらえて、恐ろしい勢いで抗弁をはじめた。
「面白いお考えです。小説としては実に面白いと思います。しかし、確証が一つもないじゃありませんか。ローマ字の日記帳とやらをのぞいては、ことごとくあなたの空想にすぎないじゃありませんか。また、その日記帳にしても、それを書いた男は、文学青年なのですからね。文学青年の頭には現実と空想のけじめがないのです。そこに何が書いてあったにしても、そんなものは、取るに足らぬ幻想です。なんの確実性もないのです。
それに、あなたは先ほど僕の言った、もう一つの重大な点に、まだ少しも触れないじゃありませんか。それは動機です。狂人でもない僕が、なぜ真実の父や姉を殺そうとし、真実の妹を殺害しなければならなかったかという、その理由です。動機がまったく不可能とすれば、そのほかの点がいかにまことしやかに説明されても、そんなものは一顧の価値もありません。僕には殺人の動機がまったく欠けているのです。