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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页
そして、警察に電話をかけるんだ。それから、一郎や綾子をもっとよく探すんだ。さあ、小林君も一緒に来たまえ」
伊志田氏は何かイライラした調子で言って、先に立って母屋の方へ歩き出した。
それから時ならぬ家捜しがはじまった。応接間で伊志田氏が小林少年になお詳しいことを質問しているあいだに、四人の書生と女中たちとが手分けをして、母屋はもちろん、円塔の中から、湯殿や手洗所まで探しまわったが、不思議なことに一郎と綾子の姿はどこにも発見されなかった。
間もなく所轄警察署から係り官がやってくる。引きつづいて警視庁の北森捜査課長が部下の刑事を伴って到着する。深夜の伊志田屋敷は、部屋という部屋に煌々と電燈が点じられ、庭には懐中電燈の光が交錯して、物々しい光景を呈した。
警察医の検診によって、怪青年は心臓を直射されて即死していることが確かめられ、屍体は一応邸内の空き部屋に移された。
一郎と綾子の行方は依然として、まったく不明であった。ピストルは塔の中から発射されたらしいという小林少年の証言によって、塔の内部が綿密に捜索されたが、なんの手掛りも発見できなかった。
北森課長は書生や女中を一室に集めて、厳重な取調べを行なった。