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うんせききこう

柳宗悦 民藝紀行

柳 宗悦

柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页

青空文庫

ともかく描く者の個性の差違は、最少限度に消されてしまいます。それ故誰が描こうが大同小異で、また何千何万と描こうがこれもほぼ同一のものとなります。一生一代の逸品とか雄作とかいうようなものではなく、数えきれぬほどに同じものが繰返し描かれます。それも一人や二人の仕事ではありません。

試みに皆川マス女が長い一生の間に今まで一体どれだけの土瓶に絵附をしたかを計算すると致しましょう。仕事が盛んだった時期や、それが衰えた近年などを考慮に入れて、内輪に勘定致しましても、彼女が描いた土瓶の数は、驚くことに四百万個を越すかと思われます。前にも申しました通り一日に五百個、時としては千個も描いたといわれます。個人作家の生産する個数などとは、誠に天地の隔りで、莫大な数量を示します。しかもかかる驚くべき数は、決してただ数のことには終りません。不思議な力を品物に齎らすのは必定であります。心にも作り方にも美しさにも大きな影響を及ぼします。

おそらく日本の各地でこの種の土瓶は何千万個、否おそらく何億と生産され消費されたと思われます。大体土瓶の運命は果ないもので、口が毀れ、蓋が破れ、耳がもぎれ、それに火という敵と闘わねばなりません。