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うんせききこう

柳宗悦 民藝紀行

柳 宗悦

柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页

青空文庫

一〇

分ってしまう陀羅尼など、信心に何の役に立ちましょう。

さて、私がここに陀羅尼を引合いに出すのは、土瓶の絵が陀羅尼風な絵にまで熟し切っているので、それが美しさを深めているのだといいたいためであります。山水土瓶はちょっと見て何を描いているのか分らぬほど省略されております。原画は誰にも分る山水絵で、一々何を示しているか、はっきりしていたに違いありません。ところがその元の絵と、略されて陀羅尼風な絵に化したものとを比べますと、ずっと後者の方に活々した生命を感じます。それは絵が説明を越えて、陀羅尼の性格を帯びてきたためといえるでありましょう。それはただの絵ではなく、絵に煮つまった絵で、山水の絵ではなく、絵の山水、更に絵そらごとの山水になっているのであります。見ると、割り切ることも出来ぬ絵に成っております。分ってしまう絵ではなく、分ることを越えた絵になっております。ここがこの土瓶絵の深い生命で、分けの分らぬままに何か活きたものが動いているのを感じる所以であります。私はそういう風に熟した絵を、「陀羅尼絵」と呼びたいと思います。

一〇

昔一人の信心深いお婆さんがありました。