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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

三人いると思うと、佳子さんだって出悪いよ」

「うむ。佳子さんに定めて貰おう」

「それが宜い。僕は分らず屋とはもう交渉を断つ」

折から吉川君は腕時計に見入って、

「チェッ」

と舌鼓を鳴らした。

「君だって困るだろう? 立場が間違っているんだ」

「いや、僕も辛抱較べをしたいんだけれど、生憎のことに今朝は約束がある」

「誰だい?」

「拠ろない人だ」

「態を見やがれ」

と安達君は聊か溜飲を下げた。

「失敬する。もう時間だ」

と吉川君は急いで立って行ってしまった。

安達君と瀬戸君はそのまゝ応接室で待ち続けた。しかし佳子さんは姿を見せなかった。瀬戸君が一寸廊下へ出て、

「閣下は?」

と女中に訊いて見た。まさかお嬢さまはとも言えなかった。閣下は来客中だとのことだった。もうお昼に近かった。

「これは悉皆吉川君に気を利かされてしまったよ」

「何故?」

「今日は紹介式丈けだ」

「成程」

「帰ろう」

「馬鹿を見た」

と二人は早速退出した。奥さんが玄関へ見送ってくれた。主人が来客中で失礼申上げましたという申訳だった。安達君は門のところで瀬戸君に別れた。いつもと違って、誘う勇気もなかった。

早速の行動

「安達さん。