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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

宣伝と教訓

「やりませんよ」

「いや、やらざるを得ないように仕掛ける。何か離間策があるだろう?」

「考えて見ますが、何うやらこのまゝで勝てそうな形勢です」

「自信があるかね?」

「はあ」

「それじゃ何か事件が起ったら、又相談に来なさい。然ういう時、巧く浪に乗ると早い。君が事件を起すのも一法だ。何かやらなければいかん。俺も考えて置く」

と溝淵閣下は何処までも頼もしかった。

宣伝と教訓

瀬戸君は小学校から大学まで優良の成績で通して来たのだから元来模範的だ。余り策を弄する必要はなかったのだが、成功を確実にする為めに、唯さえ申分ないところへ余所行きを加えた。尚お将来佳子さんを支配する積りだから、暗々の裡に教訓を心掛けた。随って話が兎角道理に落ちて、自己宣伝の香がする。

「瀬戸さんは朝はお早いんでございますか?」

「はあ。この頃は五時です」

「まあ/\」

「東の空が紅いです。夕焼よりも朝焼の方が余っ程綺麗ですよ」

「私なんか寝坊ですから、見たことがございません」

「朝の時間は頭が好いから大切ですよ。僕は日本中の人が皆もう一時間早く起きることにすれば、能率が挙がって、国家が富むだろうと思います」