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きゅうこんさんじゅうし
求婚三銃士
佐々木 邦
「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页
「お父さんも御一緒でしたか?」
「はあ」
「成程」
「それですから、私、公平を守って、今日お伺い申上げましたの」
と佳子さんは弁解の積りだった。しかし公平を守っての奇襲訪問では有難味が薄らぐ。願くは此方の為めに断然公平を破って貰いたい。
吉川君は写真が道楽で、年来やっているから、製作の芸術写真をお目にかけた。説明と自慢をした後、
「佳子さん、丁度好い機会ですから、庭で活動写真を取らせて戴きましょうか?」
と申込んだ。
「さあ。私、もうお暇しなければなりませんわ」
「お手間は取らせません」
「パテー・ベビー?」
「はあ。技師の腕前を信じて下さい」
「弼も一緒にお願い出来ません?」
「結構です。電話をかけましょう」
「矢っ張り考えていらっしゃいますわね」
「何ですか?」
「唯のお写真と違って、映画なら、又拝見に上らなければなりませんわ」
「ハッハヽヽ」
「土曜日の晩に限るなんて仰有っちゃ困りますよ」
「何うも頭の好い人には敵いません。此方の考えていることを悉皆先に仰有ってしまうんですから」
一気呵成の足掻き
正式に競争が始まってから、二月余り過ぎて、もう間もなく年が改まる。吉川君は瀬戸君が落伍して以来、独り舞台のような気がする。