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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

二代かゝって築き上げた身代を小宮君が入婿になって将来受継ぐ。三代目だ。責任が重い。小宮君の生家も日本橋の老舗で、これは養家よりも更に大きい。小宮君は叔父さん叔母さんに懇望されたのだ。若子さんとは子供の時からの馴染だったから、一も二もなかったらしい。その叔父さん叔母さんが一寸顔を見せた。小宮君から一々紹介を受けて、

「今後とも何分宜しくお願い申上げます。何うぞ御ゆっくり」

とそれ丈けで引き退った。

後はもう遠慮がなかった。若子さんが斡旋して、食事の中に話が弾んだ。

「この中で、誰が一番先に家庭を持つだろうね?」

と小宮君が問題を出した。

「それは君だよ。もう側に坐っている」

「厭になってしまうな。分り切ったことを訊いて脂下っている」

「然う言えば、先刻のも然うだったよ」

と三人はもう大分当てられている。

「僕はもう定っているけれど、君達三人の中でさ」

「さあ」

「誰だろうな」

と小宮君が促した時、三人は期せずして黙ってしまった。

個人同志の交際が今に家庭同志の交際になるという話から、この四人の中で誰と誰が一番昔からの馴染だったろうという追憶に移った。

「それは僕と、吉川君だろう」