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いきにんぎょう
活人形
泉 鏡花
「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页
表二階にて下男を対手に、晩酌を傾けおりしが、得三何心無く外を眺め、門前に佇む泰助を、遠目に見附けて太く驚き、「あッ、飛んだ奴が舞込んだ。と微酔も醒めて蒼くなれば、下男は何事やらんと外を望み、泰助を見ると斉しく反り返りて、「旦那々々、あれは先刻病院に居た男だ。と聞いてますます蒼くなり、「ええ! それでは何だな。お前を疑う様な挙動があったというのは彼奴か。「へい、左様でござい。恐怖え眼をして我をじろりと見た。「こりゃ飛んだ事になって来た。と一方ならず恐るる様子、「何もそう、顔色を変えて恐怖がる事もありますめえ。病気で苦しんでる処を介抱してやったといえばそれ迄のことだ。「でもお前が病院へ行った時には、あの本間の青二才が、まだ呼吸があったというではないか。「ひくひく動いていましたッけ。「だから、二才の口から当家の秘密を、いいつけたに違いない。「だって何程のこともあるめえ。と落着く八蔵。得三は頭を振り、いや、他の奴と違う。ありゃお前、倉瀬泰助というて有名な探偵だ。見ろ、あの頬桁の創の痕を。な、三日月形だろう、この界隈でちっとでも後暗いことのある者は、あれを知らぬは無いくらいだ。