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いきにんぎょう
活人形
泉 鏡花
「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页
十三 走馬燈
はっしと撲たれて悲鳴を上げ、「ああれ御免なさいまし、御免なさいまし。と後へ反り前へ俯し、悶え苦しみのりあがり、紅蹴返す白脛はたわけき心を乱すになむ、高田駄平は酔えるがごとく、酒打ち飲みていたりけり。
十三 走馬燈
無慙やなお藤は呼吸も絶々に、紅顔蒼白く変りつつ、苛責の苦痛に堪えざりけん、「ひい、殺して下さい殺して。と、死を決したる処女の心。よしやこのまま撲殺すとも、随うべくも見えざれば、得三ほとんど責倦みて、腕を擦りて笞を休めつ。老婆はお藤を突放せば、身を支うべき気力も失せて、はたと僵れて正体無し。
得三は、といきを吐きて高田に向い、「御覧の通りで仕様がありません。式作法には無いことだが、お藤の手足をふん縛って、そうして貴下に差上げましょう、のう、お録、それが可いじゃないか。「それが好うございます。その後は活すとも殺すとも、高田様の御存分になさいましたら、ねえ旦那。といえば得三引取って、「ねえ高田様。駄平は舌舐ずりして、「慾にも得にももうとてもじゃわい。そうして貰いましょうよ。「では証文をな。「うう、承知、承知。ここに恐しき相談一決して、得三は猶予なく、お藤の帯に手を懸けぬ。