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いきにんぎょう
活人形
泉 鏡花
「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页
十 夫婦喧嘩
ええ、これほどいうのに返事もしないかねえ。とひしと上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)の腰に縋りて、口説きたるには、泰助も涙ぐみぬ。
美人はまた、「あれ堪忍して下さいましよ。貴女は仮にも母様、恨みがましいことを申して済みませんでした。でももう神様も、仏様も、妾を助けて下さらないから、母様どうぞ助けて下さい。そうでなくば、私を殺して早うお傍に連れて行って下さいまし、よ、よ。と力一杯抱緊めて、身を震わせば人形もともにわななくごとくなり。
泰助は見るに忍びず。いでまずこの嬢を救い出さん、家の案内は心得たれば背負うて遁げんに雑作は無しと幕を掲げて衝と出でたり。不意に驚き、「あれ。と叫びて、泰助声をも懸けざるに、身を飜して、人形の被を潜って入るよと見えし、美人は消えて見えずなりぬ。あまりの不思議に呆気に取られ、茫然として眼をぱちぱち、「不思議だ。不思議と泰助は、潜かに人形の被の端へ片手を懸けたる折こそあれ。部室の外にどやどやと跫音して、二三人が来れる様子に、南無三宝飛び退りて再び日蔽の影に潜みぬ。
十 夫婦喧嘩
高田の下男銀平は、下枝を捜し出さんとて、西へ東へ彷徨つ。