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いきにんぎょう

活人形

泉 鏡花

「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页

青空文庫

一 急病

急病  系図  一寸手懸  宵にちらり  妖怪沙汰  乱れ髪  籠の囮  幻影  破廂  夫婦喧嘩  みるめ、かぐはな  無理 強迫  走馬燈  血の痕  火に入る虫  ※(「口+阿」、第4水準2-4-5)呀!  同士討  虐殺  二重の壁  赤城様――得三様  旭

一 急病

雲の峰は崩れて遠山の麓に靄薄く、見ゆる限りの野も山も海も夕陽の茜に染みて、遠近の森の梢に並ぶ夥多寺院の甍は眩く輝きぬ。処は相州東鎌倉雪の下村……番地の家は、昔何某とかやいえりし大名邸の旧跡なるを、今は赤城得三が住家とせり。

門札を見て、「フム此家だな。と門前に佇みたるは、倉瀬泰助という当時屈指の探偵なり。色白く眼清しく、左の頬に三日月形の古創あり。こは去年の春有名なる大捕物をせし折、鋭き小刀にて傷けられし名残なり。探偵の身にしては、賞牌ともいいつべき名誉の創痕なれど、衆に知らるる目標となりて、職務上不便を感ずること尠からざる由を喞てども、巧なる化粧にて塗抹すを常とせり。

倉瀬は鋭き眼にて、ずらりとこの家を見廻し、「ははあ、これは大分古い建物だ。まるで画に描いた相馬の古御所というやつだ。