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いきにんぎょう
活人形
泉 鏡花
「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页
そういう糞慈悲を垂れやあがる。我が帰るまで応といわなけりゃ、決して下してやることはならないと、あれほど言置いて行ったじゃないか。「でもひいひい泣きまして耳の遠い私でも寝られませんし、それに主公、二日もああして梁に釣上げて置いちゃあ死んでしまうじゃございませんか。「ええ! そんなことはどうでも可い。どこへ遁したか、それを言えッてんだ。「つい今の前も北の台へ見廻りに参りましたら、下枝様は平常の通り、牢の内に僵れていましたのに、にわかに居なくなったとおっしゃるが、実とは思われません。と言解様の我を欺くとも思われねば、得三は疑い惑い、さあらんには今しがた畦道を走りし婦人こそ、籠を脱けたる小鳥ならめ、下枝一たび世に出なば悪事の露顕は瞬く間と、おのが罪に責められて、得三の気味の悪さ。惨たらしゅう殺したる、蛇の鎌首ばかり、飛失せたらむ心地しつ立っても居ても落着かねば、いざうれ後を追懸けて、草を分けて探し出し、引摺って帰らんとお録に後を頼み置き、勝手口より出でんとして、押せども、引けども戸は開かず。「八蔵の馬鹿! 外から鎖を下して行く奴があるもんか。とむかばらたちの八ツ当り。